発表会の会場となったホテルから見る南三陸町 |
先月末に、助成支援をいただいている「文化・芸術による福武地域振興財団」の成果発表会へ行ってきました。今年の開催場所は宮城県の南三陸町でした。
実は初めての東北。
集合場所であった仙台市内は、震災前と何が違うのかを捉えることができませんでした。
仙台市内 |
仙台市内から南三陸町へバスで移動。
気仙沼線はまだ復旧していないため電車での移動はできません。
ある地点から急に景観と雰囲気の重さが変わったのには驚きました。
今年は、新規助成グループ(8組)と震災関連事業を行うグループ(6組)のみの発表だったため、広島アートプロジェクトは、パネル展示と聴講のみの参加でした。
新規の団体は、若い女性のスタッフが運営する団体が多く、従来のアートプロジェクトが行うプログラムとはひと味違う印象を受け新鮮でした。
審査員・講評者であった熊倉純子さんも仰っていましたが、若いスタッフはどうやって食べていけているのか?人ごとではない切なさもありました…。
震災関連事業は、新規に立ち上がった団体と、今回の震災を機に活動の方向性を変えていった団体という2つに分かれていました。6団体中5団体が東北・福島を拠点とする団体でしたが、その中で、特に地域振興系では珍しいアーティストが主導するプロジェクトとして、開発好明さんが「Daylily Art Circus」を立ち上げていました。
開催地である南三陸町で進められている「"生きる"博覧会2011」は、この町で生きていくための心の絆を作りだすめに「きりこ」で繋いでいくプロジェクトを発表されました。
プロジェクションされているのが「きりこ」 |
人々が繋がっていくことを根底に各プロジェクトを振り返ると、切り口は違っていても共通するものがあります。各地域や都市が抱える問題ごとに切り口を変え、解決の糸口を軽快(実際は大変な労力ですが…)に見つけていく強みとして、地域の文化や芸術が持つ可能性は計り知れないと改めて感じました。
発表会の後は、恒例の懇親会でした。
福武理事長のあいさつ |
美味しい料理を囲んでの新しい出会いが、この発表会で得られる財産です。
とにかく会場の設計は、バブルの匂いがしました…。
打ち寄せる波音とともに、今年も夜遅くまでお話は続きました。
2日目は、朝早くから被災地を視察をしました。
瓦礫はほとんど撤去されていて、更地状態でした。
奥に見えるのが発表会場でもあり宿泊したホテル |
撤去されるまでに至っていない船 |
瓦礫の山 |
塩害でくっきりと色の違いが見える木々 |
バスの窓から見たというのもあるかもしれませんが、現実の風景も映像や写真の世界でした。震災前の町や人々の営みを想像することは容易な内ですが、失われてしまったもの、残ってしまったもの、新たに生み出してしまったものを想像することは、更にリアリティに欠けてしまうという難しさを実感しました。イメージすることが貧しい、無力だと感じた体験でした。
また、ガイドの方のうつろな目としっかりとした口調の差が印象的でした。
半年という時間の長さは共有できませんね。
決してネガティブな思考になっている訳ではありませんが、これからあの場所で生まれてくる子どもたちも同じ様な感覚になるのではないかと思います。
その後は、「3.11以降の地域とアート、これまでとこれから」というタイトルでシンポジウムが開催されました。
特に、椹木さんの「アート自体の再生」という言葉が印象に残りました。今をどうするかという問題が大きいなかで、これからのことの話は何を前提に話すべきかも問われ、そんな状況下での発言は聞いている側も心苦しかったです。
最後は南三陸町で開催されている「福興市」に出向きました。大勢の来場者と威勢の良い各出店者。
来場者がお金を落としていくというより、珍しい特産物やお酒とともに、なんでもない話をするという有意義な時間を逆にもらうことができました。震災ビジネスも盛んになりますね。
慌ただしいスケジュールという理由もありますが、とても濃密な2日間でした。
現地でお世話になった方々、ありがとうございました。
(I.M.)
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